はじめに
私はK10Dの頃からのPENTAXユーザーで、星空撮影もPENTAXにこだわって楽しんでいます。メインカメラとしてPENTAX K-1を使用しているため、これまではアストロトレーサー機能を活用して撮影を重ねてきました。しかし、より本格的な追尾撮影がしたくなり、ポータブル赤道儀を導入しました。
この記事では、私自身の星空撮影の記録と、それぞれの機材を使用した際の個人的な感想をまとめています。PENTAXで星空撮影を楽しむ方々にとって、少しでも参考になれば幸いです。
アストロトレーサーとは
アストロトレーサーは、PENTAX独自の便利な機能です。通常、長時間露光で星空を撮影すると、地球の自転により星が線状に写ってしまいます。アストロトレーサーは、カメラ内蔵のGPSとセンサーを利用し、この動きを打ち消すようにイメージセンサーを動かします。
使用方法は簡単です。まず、カメラのモードダイヤルをB(バルブ)に合わせ、次にメニューからアストロトレーサー機能をオンにします。GPSの精密キャリブレーションを行った後、通常の撮影手順で長時間露光が可能です。この機能を使うことで、特別な機材が不要で、三脚だけで星を点状に写すことができます。広角レンズを使用した風景と星空の組み合わせ撮影に特に適していると思います。
アストロトレーサーは、星空撮影の可能性を広げる画期的な機能であり、PENTAX K-1やK-1 Mark II、K-3 IIなどの上位機種に搭載されています。さらに、K-3 Mark IIIからは新たにアストロトレーサーType2が導入され、新たな進化を遂げています。
アストロトレーサーを使用した作例
HD PENTAX-D FA 15-30mmF2.8ED SDM WR の作例
方角的に天の川が見えるのではないかと期待して訪れた奥多摩湖の留浦浮橋。想像通りの光景でしたが、橋を含めた構図にするには15mmのレンズでもギリギリでした。
桜と天の川を絡められそうだと期待して訪れた奥多摩湖。期待通りの光景でしたが、満開の時期が新月期を外れていたため、天の川は淡い写りとなりました。しかし、主題の桜は明るく写り、全体的なバランスは良かったと思います。
天の川の撮影スポットで有名な大洗海岸。海上に横たわる天の川を期待して訪れましたが、朝焼けと重なるというサプライズもあり、カラフルな景色を撮影することができました。
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW の作例
撮影から興味を持ったため、天体に関する知識は乏しく、突っ込みどころの多い写真かもしれませんが、想像以上に星や星雲が写っていて感動しました。この撮影をきっかけに、ポータブル赤道儀を導入することになりました。
SIGMA 35mm F1.4 DG DN | Art の作例
夏の大三角形と天の川。デネブはすぐに覚えられましたが、アルタイルとベガはいまだにうろ覚えです。ポータブル赤道儀で追尾がうまくいかない場合は、アストロトレーサーに切り替えて撮影していたものです。
ポータブル赤道儀とは
ポータブル赤道儀は、星空写真撮影に使用する小型で軽量な機材です。通常の三脚に取り付けて使用し、カメラを搭載して星の動きを追尾します。重さは数百グラムから2kg程度と軽量で、持ち運びが容易なのが特徴です。
この機材の最大の利点は、地球の自転に合わせてカメラを動かし、長時間露光でも星を点像として捉えられることです。これにより、一般的な固定撮影では難しい鮮明な星空写真を撮影することが可能になります。
ポータブル赤道儀を使用することで、より多くの星や天の川を鮮明に撮影でき、星空写真の表現の幅が大きく広がります。私の場合は、レンズくらいの大きさで収納性が良い、Vixen ポラリエUを使用していました。
ポータブル赤道儀 Vixen ポラリエUを使用した作例
HD PENTAX-D FA★50mmF1.4 SDM AW の作例
天の川を主役にアンタレス付近の散光星雲も意識したのですが、全然色が出ませんね…。いつかはカラフルタウンを綺麗に撮影したいです。
SIGMA 35mm F1.4 DG DN | Art の作例
夏から秋にかけては夏の大三角形と、デネブ付近の散光星雲を主役にしたくなります。
まとめ
アストロトレーサーとポータブル赤道儀は、どちらも星空撮影を支援する機能ですが、それぞれに長所と短所があります。
アストロトレーサーは、PENTAXのカメラに搭載された機能で、カメラ内蔵のセンサーを使って星の動きを追跡します。使用方法が簡単で、通常の三脚で固定撮影できるのが大きな利点です。ただし、露光時間には制限があります。また、固定撮影が前提のため、長時間の連続撮影では構図の再調整が必要になります。
一方、ポータブル赤道儀は、地球の自転に合わせてカメラごと動かすことで、長時間露光や望遠撮影でも星を点像として捉えることができます。ただし、セッティングや極軸合わせ(赤道儀の回転軸を地球の自転軸に合わせる作業)に時間と技術が必要で、機材も比較的重くなります。また、北極星が見えない場所では使用が難しくなります。
結論としては、私の経験から、アストロトレーサーは手軽な星景写真に、ポータブル赤道儀は本格的な天体撮影に適していると感じています。撮影の目的や条件に応じて、適切な機材を選択することが重要だと考えます。