PENTAX K-1 Mark II 天体改造機による星空撮影作例

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はじめに

PENTAX K-1 Mark II 天体改造機
PENTAX K-1とPENTAX K-1 Mark II 天体改造機

星空撮影を始めて以来、私の撮影パートナーとなってきたのがPENTAX K-1です。撮影を重ねる中で、PENTAXのカメラは赤いエリアの描写に優れており、星雲の赤い色合いも思いのほか美しく写すことができました。

星空撮影にのめり込むうちに、もっと星空の細部まで写真に収めたいという気持ちが芽生えてきました。そんな時に出会ったのが、天体撮影用に改造されたカメラという選択肢でした。悩んだ末、思い切って新しく購入したPENTAX K-1 Mark IIを天体撮影用にカスタマイズすることに決めました。

この記事では、PENTAX K-1から天体改造したK-1 Mark IIへの移行体験と、実際の星空写真で見る改造前後の違いをご紹介します。特に赤い星雲の描写力の向上など、天体改造機ならではの特徴を作例とともにお伝えできればと思います。

天体改造カメラのメリット

PENTAX K-1 Mark II 天体改造機&HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW
PENTAX K-1 Mark II 天体改造機&HD PENTAX-D FA★85mmF1.4ED SDM AW

デジタルカメラの天体撮影用改造のメリットは、通常のカメラでは捉えにくい赤い星雲や淡い天体が鮮明に撮影できるようになります。これは、カメラの内蔵フィルターを特殊なものに交換することで、撮像センサーの感度が向上し、特にHα線と呼ばれる赤い光をよく捉えられるようになるためです。また、露出時間を短縮できるため、より効率的な撮影が可能になります。さらに、改造後も通常のレンズが使用でき、オートフォーカスなどの基本機能もそのまま活用できる点も大きな利点です。

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天体改造カメラのデメリット

デジタルカメラの天体撮影用改造には、いくつかの重要なデメリットがあります。まず、改造には数万円の費用がかかり、メーカー保証が受けられなくなるため、故障時のリスクが高まります。一部のカメラを除き改造をもとに戻すことができるそうですが、その場合も追加の費用が発生します。

改造の対象となるカメラは修理可能な機種に限られ、状態が悪かったりシャッター回数が5万回を超えている場合は改造できないそうです。PENTAXのカメラの場合、ダストリムーバル機能が使用できなくなり、アストロトレーサー機能については改造後の動作が未確認ですが、使用できなくなる可能性があります。

改造後のカメラは実質的に天体撮影専用機となり、一般的な風景や人物写真を撮影すると、画像全体が赤く被ってしまう傾向があります。WBのマニュアル設定や画像処理ソフトである程度の補正は可能ですが、通常の写真撮影には適さなくなります。

天体改造機のプレビュー画面
天体改造機のプレビュー画面

当時はSWAT-310MGEN-3のプレートソルバー機能を使って目視導入していましたが、上の写真のように赤かぶりした画像では、星の色合いや明るさが判別しづらく、カメラの背面液晶で構図決定が難しくなりました。

PENTAX K-1とK-1 Mark II 天体改造機の比較作例

天体写真の撮影と現像方法は様々なツールを試すなど試行錯誤を重ねてきました。初期は、ライトフレーム10枚程度をStarry Landscape StackerSequatorで合成する簡単な方法でした。PENTAX K-1非改造機で撮影した写真はこの合成方法を用い、その後Photoshopで仕上げています。

最近では、ライトフレーム、バイアスフレーム、フラットフレームを撮影し、PixInsightを使用して現像しています。PENTAX K-1 Mark II 天体改造機で撮影した写真のほとんどはPixInsightで現像しています。

PixInsightは非常に強力なソフトウェアですが、まだ十分に使いこなせておらず、意図した色調を実現するのに苦労しています。

また、この作例ではPixInsightでの処理後にPhotoshopでの色調補正や彩度調整を行っていないため、一見するとPENTAX K-1非改造機の方が良い結果に見える場合もあるかもしれません。

奥多摩にて北アメリカ星雲・サドル・網状星雲(2023年7月)

カメラボディ:PENTAX K-1 Mark II 天体改造機
レンズ/望遠鏡:HD PENTAX-D FA ★ 85mmF1.4ED SDM AW
マウント/赤道儀:ユニテック SWAT-310
フィルター:ケンコー スターリーナイト
焦点距離:85mm
絞り値:F2.8
ISO感度:ISO 1600
露出時間:60秒
撮影枚数:32枚
撮影ソフトウェア:-
撮影地:東京都奥多摩町
撮影日時:2023/7

カメラボディ:PENTAX K-1
レンズ/望遠鏡:HD PENTAX-D FA ★ 50mmF1.4 SDM AW
マウント/赤道儀:-
フィルター:ケンコー スターリーナイト
焦点距離:50mm
絞り値:F4.0
ISO感度:ISO 4000
露出時間:90秒
撮影枚数:12枚
撮影ソフトウェア:-
撮影地:山梨県甲州市塩山
撮影日時:2020/8

大菩薩ラインにて北アメリカ星雲・サドル・ガーネットスター(2020年8月)
奥多摩にてカラフルタウン(2024年3月)

カメラボディ:PENTAX K-1 Mark II 天体改造機
レンズ/望遠鏡:HD PENTAX-D FA ★ 85mmF1.4ED SDM AW
マウント/赤道儀:ユニテック SWAT-310
フィルター:-
焦点距離:85mm
絞り値:F4.0
ISO感度:ISO 3200
露出時間:120秒
撮影枚数:32枚
撮影ソフトウェア:-
撮影地:東京都奥多摩町
撮影日時:2024/3

カメラボディ:PENTAX K-1
レンズ/望遠鏡:smc PENTAX-DA★300mmF4ED[IF] SDM
マウント/赤道儀:ユニテック SWAT-310
フィルター:ケンコー スターリーナイト
焦点距離:300mm
絞り値:F5.0
ISO感度:ISO 1600
露出時間:120秒
撮影枚数:19枚
撮影ソフトウェア:-
撮影地:東京都奥多摩町
撮影日時:2023/2

奥多摩にてカラフルタウン(2023年2月)
清里にて天の川(2023年5月)

カメラボディ:PENTAX K-1 Mark II 天体改造機
レンズ/望遠鏡:HD PENTAX-D FA ★ 50mmF1.4 SDM AW
マウント/赤道儀:ZWO AM5
フィルター:ケンコー スターリーナイト
焦点距離:50mm
絞り値:F4.0
ISO感度:ISO 3200
露出時間:120秒
撮影枚数:31枚
撮影ソフトウェア:N.I.N.A.
撮影地:山梨県北杜市
撮影日時:2024/3

カメラボディ:PENTAX K-1
レンズ/望遠鏡:HD PENTAX-D FA ★ 50mmF1.4 SDM AW
マウント/赤道儀:ユニテック SWAT-310
フィルター:ケンコー スターリーナイト
焦点距離:50mm
絞り値:F4.0
ISO感度:ISO 1600
露出時間:120秒
撮影枚数:13枚
撮影ソフトウェア:-
撮影地:山梨県北杜市
撮影日時:2023/4

清里にて天の川(2023年4月)

まとめ

PENTAX K-1 Mark IIの天体撮影用への改造には6ヶ月もの時間がかかりましたが、その結果には非常に満足しています。改造機で撮影した写真では、赤い星雲がより鮮明に写り、これまで以上に美しい天体写真を楽しむことができています。

現在、ハヤタ・カメララボではPENTAXの天体改造サービスを休止しており、再開の見込みも立っていないようです。ギリギリのタイミングで改造を依頼できたことは本当に良かったと思います。ただし、改造したカメラが故障した場合、メーカーに修理を依頼する前に改造を元に戻す必要があるため、その点には少し不安を感じています。

私の知る限り、ハヤタ・カメララボ以外ではPENTAXのカメラの天体改造を行っていません。しかし、PENTAXのカメラは特に赤いエリアの描写に優れており、改造を行わなくても美しい天体写真を撮影できる点が魅力です。改造機はその性能をさらに引き出しますが、通常のモデルでも十分に楽しむことができると思います。

この記事が、PENTAXでの星空撮影に興味を持つ方々の参考になれば幸いです。

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