はじめに
この記事では、PENTAX K-1 Mark IIを天体撮影ソフトNINA(Nighttime Imaging ‘N’ Astronomy)で使用するために試行錯誤した設定方法を紹介します。
「リモート制御する方法」と大袈裟に言いましたが、実際にはNINAからレリーズを切ることができるだけで、K-1 Mark IIのシャッタースピード、絞り、ISOを変更することはできません。K-1 Mark IIのバルブタイマー機能を併用することで、NINAから長時間露出撮影が可能になります。
また、使用するASCOMドライバーのインストール時に警告が表示されるため、この方法は万人にお勧めできるものではありません。これらの制限や潜在的なリスクを理解した上で、自己責任で試してみたい方のために、この設定方法を共有します。
なお、Mモード(最大30秒)までの露出で十分な場合は、こちらの記事で紹介されている方法をお勧めします。私に今回の試行錯誤のきっかけを与えてくれたことに感謝します。
実行環境
この記事で紹介する方法は、以下の環境で動作確認を行っています。
- Windows 10
- Windows 11
NINAのインストールと設定
- NINA公式サイトの「Download」ページからNINAをダウンロードします。
ここではVersion 3.1 HF1を使用しました。 - ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールを完了します。
言語設定
- NINAの左メニューから「Options」をクリックします。
- 画面右上のGeneralで、Languageを日本語に変更します。
NINAのその他の設定については別の機会に紹介する予定です。
ASCOMプラットフォームのインストール
- ASCOM公式サイトの「Downloads」ページからASCOM Platformをダウンロードします。
ここではPlatform 6.6SP2を使用しました。 - ダウンロードしたインストーラーを実行し、画面の指示に従ってインストールを完了します。
ASCOMドライバのインストール
FearL0rd氏が開発したASCOM.DSLRドライバを使用します。
- インストーラーを直接ダウンロードします。
- ダウンロードしたインストーラーを実行します。
- セットアップ実行時に「ASCOM DriverHelperオブジェクトの読み込みに失敗しました。これはASCOMインストールに重大な問題があることを示しています」との警告が表示されますが、画面の指示に従ってインストールを完了します。
PENTAX K-1 Mark IIの設定
- カメラの電源を入れ、撮影モードダイヤルをBモードに設定します。
- グリーンボタンを押し、バルブタイマー機能で任意の露出時間に設定します。
- カメラをUSB 2.0 (micro B)ケーブルでPCに接続します。
PCに接続するとカメラの操作ができなくなるため、必要な設定は事前に行なってください。テストのため、シャッタースピードはBモードでしか設定できない40秒をお勧めします。
NINAからPENTAX K-1 Mark IIに接続
- NINAの左メニューから「機材 > カメラ」を開きます。
- 上部のセレクトメニューから「ASCOM Camera Driver for DSLR (ASCOM)」を選択し、歯車ボタンをクリックします。表示されない場合は、更新ボタンをクリックしてください。
- 「ASCOM DSLR Setup Form」ダイアログで、以下を設定してOKをクリックします。
- 「Connection method」を「Pentax」に設定
- 「ISO」を設定
- 電源ボタンをクリックします。接続に成功すると、カメラの情報が表示され、成功ダイアログが表示されます。
NINAからPENTAX K-1 Mark IIをレリーズ
- 左メニューから「撮像」をクリックします。
- 右上の撮像パネルで以下を設定します。
- 「露出時間」を「40」
- 「循環(ループ)」をOFF
- 「保存」をON
- パネル下部のシャッターボタンを押します。
- レリーズが終わると、画像パネルに撮影した画像が表示されます。
撮影画像の確認
撮影したSnapshotは以下の場所に保存されます。
「オプション > 撮像 > ファイル設定」に以下のようにあったので、FITS形式では保存されないものと思っていました。
一眼レフのネイティブドライバーを使っているとき、この設定は無視されます。画像はカメラのRAW形式で保存されます。
PixInsightなどで保存されたファイルを開いて、撮影情報が正しいことが確認できれば成功です。
以上が、PENTAX K-1 Mark IIをNINAで制御して天体撮影を行うための設定方法です。近年はこのワークフローで撮影を楽しんでいます。ASIAIRが対応していなくてお嘆きの、PENTAXユーザーの皆さまのお役に立てれば幸いです。